以下は、2026年7月12日時点の規則をもとにした記事案です。
FPV用LiPoバッテリーとモバイルバッテリーでは、個数制限の扱いが異なる点を明確にしています。

FPVドローン用LiPoバッテリーは飛行機に持ち込める?容量・個数・梱包方法を解説

FPVドローンを遠征先へ持っていく場合、特に注意したいのがLiPoバッテリーの航空輸送です。

LiPoバッテリーは航空輸送上「リチウムイオン電池」に分類され、容量や収納方法に制限があります。誤った状態で空港へ持っていくと、保安検査で持ち込みを断られたり、その場で処分が必要になったりする可能性があります。

この記事では、2026年7月12日時点の国土交通省、ICAO、IATAおよび航空会社の公表情報をもとに、FPV用LiPoバッテリーの持ち込み条件を解説します。

 

結論:FPV用LiPoは基本的に機内持ち込み

ドローン本体から取り外したLiPoバッテリーは「予備のリチウムイオン電池」として扱われます。

基本的な持ち込み条件は次のとおりです。

1本あたりの容量 機内持ち込み 預け入れ 航空会社の事前承認
100Wh以下 原則可能 不可 原則不要
100Wh超~160Wh以下 原則可能 不可 必要
160Wh超 不可 不可 承認があっても原則不可

つまり、FPV用LiPoバッテリーはスーツケースなどの預け入れ手荷物には入れず、短絡防止処置をしたうえで手荷物として機内へ持ち込みます。

国際航空運送協会(IATA)も、予備のリチウム電池を受託手荷物に入れず、機内持ち込み手荷物に収納するよう案内しています。

IATA「Safe Travel with Lithium Batteries」

 

FPV用LiPoは「モバイルバッテリー」ではない

2026年4月24日から、日本ではモバイルバッテリーについて次の新しいルールが導入されました。

  • 持ち込めるモバイルバッテリーは1人2個まで
  • 1個あたり160Wh以下
  • 機内でモバイルバッテリーを充電しない
  • モバイルバッテリーから他の機器を充電しない
  • 座席上の収納棚ではなく、異常を確認できる場所に保管する

ただし、国土交通省が対象としている「モバイルバッテリー」とは、リチウムイオン電池を内蔵し、スマートフォンなどの他の電子機器を充電する目的の製品です。

一般的なFPV用LiPoバッテリーは、ドローンを動かすための「予備電池」であり、通常はモバイルバッテリーには該当しません。

したがって、2026年4月からの「モバイルバッテリーは2個まで」という制限が、100Wh以下のFPV用LiPoすべてにそのまま適用されるわけではありません。[国土交通省すべてにそのまま適用されるわけではありません。

国土「モバイルバッテリーの機内持込みの新たなルールについて」

ただし、航空会社が独自に、FPV用LiPoを含むすべての予備電池について個数制限を設けることがあります。

 

持ち込めるLiPoバッテリーの個数

100Wh以下

国際的なIATA基準では、100Wh以下の予備電池は原則として1人20個までです。20個を超える場合は航空会社の承認が必要です。

一方、JALの国内線・国際線案内では、100Wh以下の一般的な予備リチウムイオン電池について「数量制限なし」と案内されています。

JAL「特にお問い合わせの多い危険物の代表例」

 

この違いは、国際基準と各航空会社の具体的な運用方法の違いによるものです。

そのため、記事としては次のように案内するのが安全です。

100Wh以下のFPV用LiPoは複数本持ち込めますが、航空会社や路線によって個数制限が異なります。国際線では「20本まで」を基本的な目安とし、多数持ち込む場合は利用する航空会社へ事前に確認してください。

なお、20本という数字はすべての航空会社が必ず認める最低保証数ではありません。

航空会社はIATA基準より厳しい条件を設定できます。

 

100Wh超~160Wh以下

100Whを超え160Wh以下の予備リチウムイオン電池は、一般的に次の条件になります。

  • 航空会社の事前承認が必要
  • 1人2個まで
  • 預け入れ不可
  • 短絡防止処置が必要

この「2個」は、対象となる100Wh超~160Wh以下の予備電池を合計した個数です。

 

160Whを超えるもの

160Whを超えるLiPoバッテリーは、旅客の手荷物としては機内持ち込み、預け入れともに原則禁止です。

貨物として輸送できる可能性はありますが、旅客手荷物とは別の危険物輸送手続きが必要になります。

 

Whの計算方法

航空機への持ち込み可否は、mAhだけではなくWh(ワット時定格量)で判断されます。

計算式は次のとおりです。


Wh=公称電圧(V)\times 容量(Ah)

 

mAhで表示されている場合は、次の式を使用します。

 

 

計算例

6S 1300mAhのLiPoバッテリーの場合、公称電圧は22.2Vです。

 

 

したがって、このバッテリーは100Wh以下です。

代表的なFPV用LiPoを計算すると次のようになります。

 

バッテリー 公称電圧 容量 Wh
1S 300mAh 3.7V 0.3Ah 1.11Wh
2S 450mAh 7.4V 0.45Ah 3.33Wh
4S 850mAh 14.8V 0.85Ah 12.58Wh
4S 1500mAh 14.8V 1.5Ah 22.2Wh
6S 1100mAh 22.2V 1.1Ah 24.42Wh
6S 1300mAh 22.2V 1.3Ah 28.86Wh
6S 5000mAh 22.2V 5Ah 111Wh

一般的な5インチFPVドローンで使用される4S 1300~1500mAhや6S 1000~1500mAhは、通常100Whを大きく下回ります。

一方、長距離飛行用の大容量LiPoやLi-ionパックでは100Whを超える可能性があります。

LiHVバッテリーの計算

LiHVバッテリーは、製品に表示された公称電圧とWh表示を確認してください。

一般的なLiHVセルの公称電圧を3.8Vとして計算する場合、6S 1300mAhなら次のようになります。

 

22.8V\times1.3Ah=29.64Wh

 

満充電時の電圧ではなく、メーカーが表示している公称電圧またはWh表示を使用するのが基本です。

 

Wh表示がないバッテリーは注意

航空会社によっては、バッテリー本体の表示からWh数を確認できない場合、持ち込みを断ることがあります。

JALも、Wh数を確認できない場合は輸送の可否を判断できないため、輸送できないと案内しています。

JAL「国際線 制限のあるお手荷物」

FPV用LiPoには、電圧とmAhだけが表示され、Whが印刷されていない製品もあります。その場合に備えて、次の対応をおすすめします。

  • 電圧、容量、メーカー名が読めるバッテリーを使用する
  • ラベルが剥がれたバッテリーを持ち込まない
  • Whを計算した一覧表を用意する
  • メーカーの商品ページや仕様書を保存しておく
  • 可能ならWh表示のあるバッテリーを使用する

自作したLi-ionパックや、セル構成・容量を確認できないバッテリーは、特に持ち込みを断られる可能性が高くなります。

 

必要な短絡防止処置

予備のLiPoバッテリーは、端子同士や金属製品との接触によるショートを防止しなければなりません。

具体的には次のような処置を行います。

  • XT30、XT60、BT2.0などの主電源コネクターに絶縁キャップを付ける
  • キャップがない場合は端子を絶縁テープで保護する
  • バランス端子も露出しないよう保護する
  • バッテリーを1本ずつ袋やケースに分ける
  • コイン、工具、プロペラ固定用ナットなどと一緒に入れない
  • 外部から押し潰されないよう保護する
  • 耐火性のLiPoバッグを使用する

LiPoバッグを使用するだけで、短絡防止処置がすべて完了するとは限りません。バッグの中でコネクター同士が接触する可能性があるため、端子を個別に絶縁することが重要です。

 

膨らんだLiPoや破損したLiPoは持ち込まない

次のようなLiPoバッテリーは、航空機へ持ち込まないでください。

  • 膨張している
  • 外装フィルムが破れている
  • セルが変形している
  • コネクターや配線が損傷している
  • 落下や墜落による強い衝撃を受けている
  • 液漏れや異臭がある
  • 異常発熱した履歴がある

IATAは、損傷したバッテリーや、安全上の理由で回収対象となっているバッテリーを旅客手荷物として輸送しないよう求めています。

 

バッテリーの充電率は何%にすべきか

一般的なFPV用LiPoを旅客の手荷物として持ち込む場合、「必ず30%以下にしなければならない」という一律の旅客手荷物規則はありません。

よく見かける「充電率30%以下」という条件は、主にリチウムイオン電池を貨物として単独輸送する場合の規則と混同されていることがあります。

ただし、安全面を考えると、FPV用LiPoは満充電ではなく、通常のストレージ電圧付近で運ぶことをおすすめします。

一般的な目安は次のとおりです。

  • 通常LiPo:1セルあたり約3.80~3.85V
  • LiHV:メーカーが指定するストレージ電圧
  • 到着後に使用前点検を行い、現地で充電する

満充電状態はバッテリーに蓄えられているエネルギーが大きく、事故発生時の危険も大きくなります。

 

ドローン本体は預けられるのか

バッテリーを取り外したドローン本体は、航空会社のサイズ・重量条件を満たせば、機内持ち込みまたは預け入れが可能な場合があります。

ただし、次の点に注意してください。

  • LiPoバッテリーは本体から取り外す
  • プロペラは外しておく
  • アームやアンテナを保護する
  • 予期せず作動しない状態にする
  • 工具類は機内持ち込み制限に注意する
  • 長いドライバー、刃物、カッターなどは預け入れ手荷物へ入れる

バッテリーを機体に装着した状態で預けるよりも、取り外して機内へ持ち込む方が明確で安全です。

 

2027年以降に予定されている変更

ICAOおよびIATAでは、リチウム電池火災の増加を受け、モバイルバッテリーに対する規制強化が進められています。

IATAの第68版危険物規則書は、2027年1月1日に発効する予定です。公表済みの案内では、モバイルバッテリーについて次の基準が示されています。

  • 1人2個まで
  • 1個あたり100Wh以下
  • 航空機の電源からモバイルバッテリーを充電しない
  • 座席上の収納棚に入れない
  • 航空会社がさらに厳しい条件を設定できる

ただし、現時点で公表されている100Whへの引き下げは、主に「他の機器を充電するためのモバイルバッテリー」が対象です。FPVドローン専用LiPoを含むすべての予備電池について、一律に100Wh超を禁止するという内容ではありません。

IATA「Changes Regarding Power Banks」

 

そのため、2027年以降もFPV用LiPoについては、基本的に次の区分が継続すると考えられます。

  • 100Wh以下:通常の予備電池として持ち込み
  • 100Wh超~160Wh以下:航空会社の承認を得て2個まで
  • 160Wh超:旅客手荷物として持ち込み不可

ただし、各航空会社が独自に100Wh以下へ制限する可能性はあるため、予約時点と搭乗直前の両方で確認する必要があります。

 

海外へ持っていく場合の注意点

国際線では、日本の出発空港だけでなく、次の条件も確認しなければなりません。

  • 利用する航空会社の規則
  • 乗り継ぎ航空会社の規則
  • 乗り継ぎ国の保安規則
  • 帰国便出発国の規則
  • コードシェア便の実際の運航会社
  • ドローン本体の輸入・持ち込み規制
  • 現地の無線・電波法規
  • 現地のドローン登録・飛行許可制度

往路で日本から持ち出せても、復路の空港で同じ条件が認められるとは限りません。

特にLCCでは、IATAやICAOの基準より厳しい社内規定を設けている場合があります。

 

搭乗前チェックリスト

  • バッテリー1本ごとのWhを計算した
  • 100Whを超えるものは航空会社の承認を得た
  • 160Whを超えるものを入れていない
  • 予備LiPoを預け入れ手荷物に入れていない
  • 主電源端子を絶縁した
  • バランス端子も保護した
  • バッテリーを個別に収納した
  • 膨張、破損、液漏れがない
  • メーカー名、電圧、容量を確認できる
  • 利用航空会社の最新規則を確認した
  • 乗り継ぎ便と復路便の規則も確認した
  • 航空会社へ確認した場合は回答を保存した

まとめ

一般的なFPVドローン用LiPoの多くは100Wh以下なので、短絡防止処置を行えば機内へ持ち込めます。

重要なポイントは次のとおりです。

  • FPV用LiPoは原則として機内持ち込み
  • 予備LiPoは預け入れ手荷物に入れない
  • 100Wh以下は原則持ち込み可能
  • 国際基準上の一般的な上限は20本
  • 100Wh超~160Wh以下は航空会社の承認が必要で2本まで
  • 160Wh超は旅客手荷物として持ち込めない
  • 2026年の「2個まで」という新規制は主にモバイルバッテリーが対象
  • コネクターとバランス端子を個別に絶縁する
  • 膨張・破損したLiPoは持ち込まない
  • 最終判断は実際に搭乗する航空会社が行う

航空輸送の規則は国際基準をもとにしていますが、航空会社はそれより厳しい条件を設定できます。実際に旅行する際は、この記事だけで判断せず、搭乗する全航空会社へ事前に確認してください。

 

主な一次情報

 

※2026年7月12日時点の情報です。規則改定や航空会社独自の制限に備え、公開時には確認日を必ず併記することをおすすめします。